この国をどうする?

この国をどうする? by 武田邦彦

武田邦彦

平成26年6月20日より配信中の「この日本をどうする?」です。

カテゴリー: 社会/文化

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「201407291315.mp3」をダウンロード 男女の関係を話すと、ほとんどの場合、バッシングに遭います。戦後、70年、男女の関係はほとんど対等になったとは思いますが、それでもまだ強い緊張感があるのか、または「相手の考えがちょっとでも違うと、バッシングしたくなる雰囲気」なのかはわかりません。とにかく、慎重な人は男女の関係について触れたくないでしょう。 でも、その被害を受けているのは子供だと私は思っています。男が得か、女かなどと言っている間に、割を食っているのは「黙っている子供」であることは確かです。これは新時代の日本を考えるときにも踏み込まなければならないことです。かつての日本、もしくは今の世界のある程度の国々の男女の役割をまずは整理してみます。 【かつての日本の分担】 かつての日本の女性は25歳までに2人の子供を産むことが任務でもありました。女性しか子供を産むことができませんし、夫婦2人で子供を作るのですから、2人は産んでくれないと日本民族は絶滅するからです。 そして25歳から50歳までの女性は子供を育てることが任務で、男性に頼んではいけませんでした。これは男尊女卑ということではなく、逆に男女平等の思想からきています。現在では男性も子育てに参加するべきだと考えられていますが、それは間違っているとされていたのです。 これに対して男性は25歳までに兵役をこなさなければなりませんでした。兵役というのは戦争の練習をしておくことで、すでに仕事をしていても、大学で勉強していても、全員が1年半から2年程度の兵役が強制されたのです。若い時間の2年ほどを失くのは大変な損害でしたが、女性が子供を2人産むのに10月10日×2の損害(行動が不自由な産前産後という意味)を受けるので、それと対等な義務と考えられたのです。 もし男性だけに兵役が課せられていれば、それこそ大きな男女不平等(女性が有利)だったでしょう。女性が子供を産むこと、男性が兵役の義務を果たすことでバランスがとられていました。 25歳から50歳までの男性は召集令状が来れば、戦場に出て、突撃命令で命を落としました。もちろん全員ではありませんが、「死ぬことを拒否できない」という義務があったのです。女性は朝から晩まで炊事洗濯家事育児でへとへとでした。そこへ夕方になって一杯やった旦那が帰ってきて「風呂」とか「メシ」とかいうのですから、さすがに腹も立ったのですが、「あの人も次の戦争で死ぬんだから」と我慢したのです。 つまり、家事育児と戦死が対になっていたのです。 【分担の理由】 なぜ、女性は子供を産み、子供を育て、男性は兵役と戦死でバランスをとったのでしょうか?それは人生というのが、1)自分自身、2)次世代、があり、子供は、1)18歳まで育てること、2)18歳からの仕事を確保すること、があるからです。 自分自身は別にして、子供を18歳まで育ててそれで終わりなら夫婦で子供を育てればよいのですが、18歳で死んでよいということではありません。昔の仕事は「農業」でしたから、親が「田畑」を子供に残さなければなりませんでした。それが戦争だったのです。 つまり、18歳まで育てるのが女性、18歳からの人生を保証するのが男性だったので、たとえば「命を懸けても田畑を守る」というのが父親の役割でした。 現在の社会で、よく「イクメン」と言われますが、かつての両親の子供に対する義務からいうと、やや不安なところがあります。そして現実にも、現在の子供は18歳までは親が面倒を見てくれると信頼していますが、かつてのように親が18歳から先の人生を考えてくれるとは思っていないのです。 それが現在の日本社会の迷走の原因となり、将来の不安でもあります。「新時代に備える」というのは、日本を取り巻く国際情勢、日本国内の合意形成、そして男女の新しい関係の3つが整うことが必須条件であることがわかります。 (平成26年7月26日) 武田邦彦

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